防火地域、準防火地域における住宅の延焼ラインで気を付けること。
2014.03.26
延焼ラインとは何?
先日、延焼ラインを知らない工務店さんがいるというお話を聞いてかなりびっくりした私です。延焼ラインとは、隣地または道路からある一定の距離を延焼の恐れのある範囲として設定し、その一定範囲のラインを延焼ラインと呼んでいます。
言葉で説明するとわかりづらいと思いますので図にして説明いたします。
延焼のおそれのある部分
上の図のように、道路では道路中心線から3mと5m。隣地では隣地境界線から3mと5mがそれぞれ延焼のおそれのある部分となります。立面で見ますと以下のようになります。
隣の家が火事になったことを想定して設けられている法律なので、実際の火災をもとにつくられているとは思いますが、上にいくほど炎が広がっていくだろうと想定して2階部分では1階部分よりも広範囲で延焼の恐れのある部分とみなしています。
また、隣地が公園や水路など火災の恐れがない場合には、それぞれ緩和策も設けられています。
延焼ライン内の対策が必要な住宅と不要な住宅
延焼ラインはすべての住宅にかかるわけではなく、法律で決められた特定の住宅に要求されます。
一般的な住宅における延焼ライン対策の必要なケースは、その土地が防火地域及び準防火地域に入っている場合です。そのほかマンションなどの耐火建築物などでは細かな指定はありますが、ここではあえて一般的な住宅のみのお話をさせていただきます。
延焼ライン内の建物にかかる仕様
防火地域、準防火地域内の住宅の延焼ライン内の範囲では、建築基準法により開口部(窓ガラス)を防火設備としなければならないとされています。
防火設備と聞くと大掛かりな設備を思い浮かべるかもしれませんが、ガラスを網入りガラスに変えるだけです。よく、北側の窓だけ網入りになっている住宅を見かけませんか?(あまり人様の家は見ないですよね…)あれは延焼ラインに一番近い北側(比較的住宅は南を開けて北側へ配置するため)が防火設備の指定を受けるためです。
防火区画
延焼ラインとよく似たものに、防火区画というものがあります。一般的な住宅では不要なものですが、共同住宅(マンション)などのように構造が耐火構造である場合に、延焼ライン内の換気ダクトやダンパーを耐火使用にしなければならないといった対策が要求されます。このあたりのことは住宅にかかることはないので割愛させていただきます。