住宅のトラブルで報告の多いのが、値引き後の工事内容。
住宅のお見積り書というのは、もちろん工事業者の儲けではあるわけですが、逆に言えば、工事業者の生活費なわけです。つまり簡単に値引きできるものではないわけですね。

今ご契約で100万値引きします!

ハウスメーカーなどでよく見るこの手の値引き。これは一般の工務店や施工業者ではありえないものです。なぜなら、ハウスメーカーは最初から工務店や施工業者以上の坪単価とマージンを取っているわけですから、100万程度値引きしたところでそれほど工事内容に影響するわけがないのです。

2000万の住宅を建てるとします。仮にその工事の内1500万は材料費だとします。500万が工務店の儲けだとします。この500万から、工事の保険、大工の給料(工事が5か月なら、大工の人数×5か月分の給料)、会社の経費(車の消費やガソリン、工具の損傷など)となり、儲けとしてはそれほど多くは残りません。

ハウスメーカーの場合、この2000万に+ブランド代(大手ハウスメーカーはテレビコマーシャルやキャラクター利用料、芸能人利用料など)が追加され、さらに、オリジナル工法と名付け研究費やオリジナルの金具、大学の協力費などが加わり、それからハウスメーカーの営業費、設計費、会社の儲けが上乗せされて3500万くらいの家になります。

つまり、2000万程度の家でもハウスメーカーならば3500万で売れるわけですね。ですから、100万程度還元することもそれほど痛くはないし、儲けも十分にできるというわけです。

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工務店の場合は値引きすると怖いことに

さて、上記の説明の通り、工務店では最初から儲けの少ないようにお見積りをしておりますので、値引きをしてしまいますとどうなるかというのをご説明いたします。

  • 1:削る箇所がないので、木材料のサイズを小さくし材料費を落とす
  • 2:外観を維持し、構造材を基準ぎりぎりまで減らす
  • 3:見てもわからない断熱性能や、コンクリートの厚さなどを減らす
  • 4:人件費を削るため、現場監督の日数を減らす

このように、安かろう悪かろうの家が建ちます。もちろん、建築基準法には触れない最低限の強度などを有してはいますが、安心を買うことは難しくなってくるでしょう。