北米生まれの2×4工法

2×4工法とは

2×4工法とは、2インチ×4インチの材をベースに作られるハウスのことで、使用する材には2×4、2×6、2×8、2×10、2×12、4×4インチの材があります。特長として中心となる柱や梁を持たず、面で構造を保つ工法です。その他にいろいろな特徴があるので以下にまとめて見ましょう。

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  • 特長
    • メインとなる柱や梁を持たず、パネルで組み立てる
    • 工事の順序が基礎-1階床-1階壁-2階床-2階壁-屋根-外壁-内装の順で行う
    • パネル型の工法なので、ある程度の工場生産が可能
    • パネル同士をクギのみで固定する、薄い金物を使用
    • パネルで強度を持たせるのでプランに制限が出る

地震の少ない海外で開発された工法ですが、阪神大震災などでも倒壊せず残っていたそうです。
2×4工法の住宅は、どの工務店も施工ができるというわけではなく、少し特殊な工法のため、技術を持った工務店のみが施工可能とします。
そのため、比較的安価に建てられる建物でありながら、特殊性の費用が上乗せされて、結果として通常の建物と変わらない値段になることがほとんどです。ただアパートなどのように、デザインや間取りがある程度決められているプランの場合には、かなりコストが抑えられますので、アパート向きの工法と言えなくもありません。

2×4工法の良し悪し

結局のところツーバイ工法は住宅に向いているのでしょうか?
わたしも過去に一度だけ2×4工法のプラン設計をさせてもらいましたが、かなりややこしい設計で、制限が多いことにびっくりしました。
基本的にパネルで構造性能を保っているため、壁となるパネルの量が空間の大きさに応じて決められています。そのため2×4工法住宅の建物を見ると、窓が比較的小さく設けられていることが多いのに気づきます。また、2×4工法を極限まで極めた建築設計事務所では、大開口の面を作った設計をしたりしますが、特殊工法のため坪単価が100万を超えることもしばしば。
さて、ではメリット・デメリットを見て住宅向きなのかを考えてみましょう。

  • メリット
    • 工場にてパネルを生産できるため、構造性能は安定して供給できる
    • 現地でパネルを組み立てるだけなので、工期がかなり早い
    • 2×4専用の構造計算があり、耐震性も保障されている
    • 比較的安く仕上げることができる
  • デメリット
    • 独自の構造計算、設計を必要とするため、業者が少なく競争価格がない
    • 最大間口が決められており、設計に自由度がない
    • やたらと壁が多い
    • 壁が構造体なのでリフォームがほぼ不可能
    • 工法的に施工中に雨ざらしになる

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メリットよりもデメリットの方が現状では多いような気がいたします。
また、日本の多くは使い捨て住宅という感覚ではなく、リフォームで住み替えていく文化なので、北米の暮らし方とは少し違っているのかなと感じます。
ツーバイフォー住宅は構造体同士の連結や床面との接合部に金物以外の細工がありません。また、固定している金物もクギで固定するため構造自体が長持ちしないのです。特に地震の多い日本においてクギだけで何世代にも持たせるのはとても困難だと言えます。

結論

わたし個人のツーバイフォー住宅に対する感覚として、プランの自由度が低い時点で、アパート向きの工法かなという印象です。
仮に住宅でこの工法を考えておられる場合は、北海道のようにカナダの気候に似た環境でのみ、そのメリットを生かせるような気がいたします。


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